炎揺らめく薪ストーブ
炎揺らめく薪ストーブ

炎が見える耐火ガラス付きの薪ストーブは、宿主の自慢であり生活の全てである。家族といえば、宿主が薪ストーブを使い続けることに不満はない。 薪を作るのも部屋に運び入れるのも全て宿主の仕事。灯油でも薪でも別にかまわないわけだ。

しかし母ちゃんにはひとつ不満がある。それは厳冬期、お客さんがいなくて夜早くに火を落としたときなど、 朝の室内温度が非常に低いことだ。室温が6度まで下がっている日もある。早めに起きて火をつけに行ってくれればいいが、 朝ご飯が半分できた頃にようやく起きて来る宿主は、まず耐火ガラスを磨き始め、日によっては灰を出したりする。 そして新聞紙を丸め、薪を入れる。ストーブに火が入るのは、朝ご飯を食べ始める頃だ。室温は6度のまま。本州なら、 所によっては真冬の屋外で朝ご飯を食べているようなものである。おまけに我が家の高級(?)薪ストーブは、 速攻で暖かくなることはない。鋳物であるストーブ自身がまず暖かくなってから、ようやく熱を部屋の中に出していく。 だから部屋の中が温まっていくのが非常に遅い。

2001年の冬
2001年の冬
そこで家族は朝ご飯を食べ終わると、我先にストーブの前に行く。たいがいは早飯食いの宿主が真っ先にストーブの前を 陣取るのだが、後から終わった子供も母ちゃんもストーブと宿主の間に立ちはだかって、一番暖かい場所を確保しようとする。 押し合いへしあいの仁義なき戦い。ああ、最新式のストーブなら、予約タイマーで朝起きた直後から快適な室温になっているだろうし、 全館暖房なら、家中どこへ行っても暖かいだろうに・・・。

ストーブのそばにやってくるのは人だけではない
ストーブのそばにやってくるのは人だけではない
しかし考えようによっては、と母ちゃんは思う。部屋中どこでも暖かければ、みんな自分の好きな場所で、 てんでバラバラに過ごしているかもしれない。こんなふうに家族が団子のようにかたまることなんてないだろう。 子供たちが大きくなって生意気盛りになっても、寒さには勝てず、薪ストーブの前に集まってくるのだろうか・・・?

2016年冬
2016年冬
いやいや、こんな甘いことを書くと、ますます宿主は調子に乗って、薪ストーブに火を入れるのを怠けて寝ているかもしれない。 子供たちが学校に行く頃になってようやく部屋の中は暖まってきた。部屋中暖かくなってもゆらゆらと炎を上げて人々を引き寄せる 薪ストーブではあるが・・・寒さに震えながら、朝ご飯を食べなくてもすむ暖房を夢見る母ちゃんなのだった。

地元の人の40代以上の人の話を聞いていると、昔の家は本州の家のつくりと同じように作っていたため保温性もなく機密性もなく、 朝起きると、寝息が掛け布団のところで凍ってバリバリになっていたといいます。最新式の家は、とにかく北国の気候を考えた家に なっているので保温性も機密性も抜群。全館暖房の家は、どこに行っても常に暖かです。
近所の新築の家に遊びに行くと、やはり全館暖房の家で、「いいな~、こんな家に住んでみたいなあ~」と思った私ですが、 そこの家のお年寄りが、「でもなあ、ストーブがないと、どこに座ったらいいのか落ち着かないんだよ・・」と言っていたのが ちょっと印象的でした。

追記この薪ストーブにまつわるお話は、2002年に発行された北海道のガイドブック「なまら蝦夷4号」にエッセイとして載せたものです。旧HPにて2002年当時にUPしたものを、写真を入れ替えて再UPしました。この記事を書いて14年後が、「2016年冬」の写真です。