多くの人に親しまれていた稚内の喫茶お天気屋マスターが亡くなって4か月余り、お参りしたいという声も寄せられていたので、本日、東京都多摩市の成満寺で納骨式が行われましたので、お知らせします。法定相続人がいなかったマスターことまっちゃん家族のお墓は墓じまいして、「みんなのお墓」に合祀されました。お参りに行く場合、境内にある「みんなのお墓」に行ってもらえたらと思います。

ただの友達である我々は、遺骨やお墓の問題はどうしようもできなかったので、相続人でないのにもかかわらず親戚の方が引き取りに来てくれたのは、本当にまっちゃんにとって幸せなことだと思います。きっと今ごろ、お母さんに会って怒られているだろうから、「みんなのお墓」で周りにいっぱい人がいてくれた方が、まっちゃんも助かるでしょう。

じつは、親戚の方が予定していた遺骨を引き取りに来る日、濃霧のため直行便が2便とも欠航になってしまっていました。遺骨の引き渡しには市役所との手続きが必要だったので、その2便どちらかに乗らないと、手続きはできませんでした。病気になっても稚内から出たくない、ずっとお天気屋にいたいと言っていたまっちゃんでしたので、そんなに東京へ帰るのが嫌なのかい!と思いました。

いろんな予定を変えて新たに仕切り直しの日を決めたんですが、なんとその日も天候調査になって、こちらに来る便は、稚内空港の見通しが悪いため旭川空港、もしくは新千歳空港に降りる可能性があります、となっていました。旭川や新千歳に着いたんでは、やはり市役所との手続きが時間的に間に合わないので、困ったことになってしまいます。

私は出迎えのため、稚内空港の4階展望室のベンチに座りながら、まっちゃん、駄々をこねるのもいい加減にせえ!ちゃんと飛行機を着陸させて!と思いながら空を見上げておりました。少し遅れたものの、低い雲から飛行機の姿が現れて、横風にあおられて2回ぐらいバウンドしながらでも無事に降りたのを見て、心底ほっとしました。

稚内直行便01
稚内直行便01
帰る日、いよいよまっちゃんが稚内とお別れする日、地元の人と3人で見送りに行きました。まっちゃんは、親戚の方たちに、大事に大事にしてもらっていました。まっちゃんとともに親戚の方がホテルの喫煙室に泊ったら、その階は喫煙階なので廊下からかなりスモーキーだったそうで、チェーンスモーカーだったまっちゃんは、さぞかし喜んだことでしょう。

稚内直行便02
稚内直行便02
いよいよお別れだね~ってなってたら、なんと!羽田空港で接触事故があったらしく、滑走路が一つ使えなくなってスケージュールが狂い、稚内空港出発が1時間近く遅れることになりました。もう笑うしかない。そんなにそんなに悪あがきするほど、稚内から離れたくないのか~い!!

稚内直行便03
稚内直行便03
伸びた時間、さらにまっちゃんの思い出話、馬鹿話を親戚の方としました。だいたいまっちゃんがドジ踏んだ話しかないんですけどね!これ以上ぐずぐずしていると、まっちゃんのドジ話をもっとばらすぞ!と心の中でまっちゃんに脅しをかけていると、いよいよ搭乗手続きの締め切り時間が迫ってきました。

稚内直行便04
稚内直行便04
まっちゃんも特別に手続きして親戚の人たちと一緒に機内に入りました。親戚の方たちと手荷物検査のところでお別れした後、我々3人は、4階展望室のところから、飛行機が飛び立つまで見送りました。時間が来てもなかなか動かないし、もういいからまっちゃん、早う行け!ぐずぐずせんと早う行け!などと言いながら、それでも飛行機が飛び立って消えていったときは、ホッとしたような淋しいような気がしました。

稚内直行便05
稚内直行便05
店に置いてあった落書き帳のようなものはどうなったのか、電子化してみんな見れるようにしたいとか、そんなことをうちに来たお客さんから聞きました。落書き帳のたぐいは、まっちゃんがみんな持って行ったので、この世には残っていません。人それぞれいろんな考え方があると思いますが、そこに行ってしか見れなかったものは、そこがなくなったら形はなくなって良いと思います。それぞれの皆さんの心の中に、残してもらえたらと思います。