うちの宿では、日本人よりきれいな日本語をしゃべるHさん、というので、時々話題に出ることがあるんですけど、そのHさんが16年ぶりに泊まりに来ました。16年前、母国ドイツに帰るって聞いていたんで、もう会えないんだなあ、ドイツで元気にしてるのかなあと思っていたら、今回、また日本に家族でやってきて、定年まで日本で働くんですって。

わんぱく盛りだったHさんの息子が高校生、赤ちゃんだった、お人形さんのようだった娘さんが中学生とは、我々もトシを取ったもんだ。といって、Hさんが泊まりに来ていた20年ほど前、飼っていたハムスターが死んで泣いていたうちの子供たちに、慰めにって言ってお菓子をくれて、その時、保育園児だった我が息子も社会人になってしまったんだからなあ。

Hさんは相変わらず上品な日本語で、宿帳に書いた字は、「俺が書く字よりきれいだ」と宿主が感心していたほどでした。これでまた、ちょくちょくと会えるんですねえ。お互いの子供たちは大きくなってしまいましたけど、我々は一瞬でブランクがあったなんて思えないほどの再会でした。