いつもなら一番上に写真を載せるんだけど、今日は文章が先です。そう、今日のお話は、まず序章がいるんです。
朝起きると、家の周りの木立には夜のうちに降った雪がみっしりと乗っていました。風がなく雪が静かに降り積もっていったようで、家の屋根も真っ白なままで、それはそれはもう、大変美しい光景でした。すぐに写真を撮ろうと思ったんですが、どうせなら、宿主が薪ストーブに火を入れて、煙突から少し煙が出だした頃に撮ろうと思いました。なので朝食を先に作って、宿主には、先に食べといてねと言って、私はカメラを持ちました。
玄関を開けて、風除室に出ると、目の前が真っ白で何も見えません。「??」と思ったら、ちょうどその時、一陣の風が吹いて、木立に積もった雪が雪煙を立てて崩れ落ちて行っているのでした。雪の量が多くて、木立の形が分からないほど雪煙で真っ白になっていたんです。呆然として眺めていて、雪煙が落ち着いて木立の姿が現れたら…、当然のごとく、木立に雪はあんまり残っていませんでした。
私が撮ろうと思った風景はどこへ行ったんだ…そう思って風除室のところで呆然としていたら、また風が吹いて、残りがまた落ちて行ったので、急いでシャッターを切りました。それが、上の写真です。もうすでにほとんどの雪が落ちているので、迫力はないのですが…。
えっ、なんで?カメラを取りに行く前は、あんなにきれいな風景だったのに。ほんの1分早く外に出たら、最初の一枚で撮れていたかもしれない、でもそれだったらその直後に、雪煙に巻き込まれていただろうなあ。こんなところで遭難も埋もれもしないだろうけど。そう思いながら、せっかくだからとろうと思っていた場所で写真を一枚…。でも木立にほとんど雪は残っていませんね。
がっかりして、家に戻って朝ごはんを食べたんですが…、でもそのうち、寓話の世界を体験したようだったなあと思いました。不思議な世界に迷い込んで、もしくは、仙人だか魔法の力で、大金持ちになったり、豪華絢爛な世界を体験して、でもそれは気が付くと…、もしくは一瞬で元の世界に戻ってしまうという。ふわっと吹いた風で、あっという間に消えてなくなった美しい雪の世界。なんだか得難い寓話の世界を体験したんだと思ったら、少し笑えました^^