大きな自然災害の報道を見るたびに、30年近く前、雲仙普賢岳の土石流のニュースを一緒に見ていた地元のばあちゃんの言葉を思い出してしまいます。「ここはねえ、台風も来ないし、自然災害もないし、本当に住みやすいところなんだよ」って言ってたのを。

こちらに来てまだ2~3年目の私は、いやいやばあちゃん、ここは冬はものすごく吹雪いて、それは台風並みの怖さだよ。どこへも行けずに閉じ込められるんだから、りっぱな自然災害だよ。そう心の中で思ったんですけど、住みやすくて、ありがたいありがたい、と繰り返すばあちゃんには、何も言えませんでした。そのばあちゃんは、樺太から引き揚げてきて、ここの地区に入植した開拓1世の人です。道路もよくなく電気も長いこと来なくて、ずいぶん苦労したはずでした。もう亡くなってからずいぶんたちます。

あれから30年近くたって、確かに、台風もほとんど来ないし水害も起こらないし、住みやすいかも…なんてちらりと思う自分がいます。吹雪いたらどこへも行かずに家に籠っていればいいんだから…。いや~、吹雪いて道路閉鎖になったり、停電になって、都会では大ニュースになることも、こちらでは別に普通でニュースにならないのが、そもそも基準が違うのですが…。その基準にだんだん慣れてきてしまったのかもしれません…。